(ノボトニー・ジェローム、OMI)「子供の命を奪うような国に明日はない」ここ5年から10年の間、新聞には中絶や避妊への財政的支援について集中的に取り上げた記事が数多く掲載されてきました。「現代の妊娠」が母親と子供との戦いであると言われるのはなぜでしょうか?世界史上の戦争による犠牲者数が推定5億であることは少し調査しただけで分かります。しかしこの数は過去36年間に生まれることなく失われた命の3分の1にも満たないのです。
この世に生を受けることのなかった赤ん坊にまつわるこういった戦いは、歴史上「最も長い戦い」のように思えます。1980年以降、15億を超える赤ん坊が合法的に葬り去られてきました。この数は米国だけでも6,000万に上ります。
赤ん坊を殺すことで誰が得をするのでしょうか?それは子供でも、母親でも、家族でも、社会でもなく、米国家族計画連盟であり巨大な中絶業界なのです。
中絶業界の目的はただ一つ、貧しい弱者である人々から利益を得ることにあります。この戦いの大部分は政府の資金援助によるものです。そうです、政府が中絶の資金を提供しているのです。米国では、政府が税金を使い、世界最大の中絶業界団体である米国家族計画連盟を支援し助成しています。
その上、これと同様の複数の中絶団体が、中絶した胎児(戦死者)を、シャンプー、顔用クリーム、シェービングローションを製造する民間企業に売り渡すことにより高い収益を上げています。今までに一体誰が兵士の死体を民間企業に売り渡すことなど考えたでしょうか?それを思うとぞっとします。その理由をお聞きになりたいですか?なぜなら、戦争で亡くなった人は、家族に、その母親や父親に連なっている。生まれることのなかった胎児もまた、家族に、その母親や父親に連なっている。
今は一旦立ち止まり、人類に何が起きているのかについて考える時です。実際のところ、私達は皆、特に家族や社会は中絶の被害者なのです。特にこの戦いでは毎日のように子供が殺されています。この戦いはいつ止むのでしょうか?
世界の人口は現在、75億です―もし合法的な妊娠中絶により中絶された15億の赤ん坊の生存権が否定されていなければ、この数は90億となっていることでしょう。
この戦いの勝敗はあなた次第です。「賢者が沈黙すれば愚者が増える」ネルソン・マンデラ氏の言葉は非常に的確にこれを言い当てています。
カトリック教会は、年齢や理由の如何にかかわらず、中絶を重大な悪であるとして絶えず非難してきました。1995年、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、中絶に対するローマ・カトリック教会の教えは「不変かつ変えられない」と宣言し、さらに「私は中絶が重大な道徳破壊であると断言します。それはなぜか?なぜならそれが、罪のない人間の命を故意に奪うことを意味するからです。この教えは、自然の法則と神の教えに基づいています。どんな状況、目的、法律があろうと、中絶を合法化することはできません。中絶の合法化は、どの人間の心の中にもある、カトリック教会が掲げる神の法に背くことです」
ノボトニー・ジェローム神父