難民とコロナウイルスの「隠れた犠牲者」

ノボトニー • ジェローム OMI – 最近の推計によると、世界中で70,754,326人の人々が難民となっている。これらは、迫害、暴力、武力紛争から逃れてきた人々である。国連難民機関のチーフであるFilippo Grandiは、「世界に平和を生み出すことは不可能に近くなっている」と述べた。2019年には、約1360万人が新たに避難を強いられた。これほど増加したのは、UNHCRの70年の歴史の中で初めてのことである。

「自分の国では、脅され、強奪される。」というのが、避難の主な理由の一つである。コロナウイルスのパンデミック中に、伝染を抑えて命を救う最善の方法として、一つの戦略が浮上してきた。すなわち、家に居ることである。しかし、エルサルバドルのある家族にとっては、これは選択肢にならなかった。3月に、この家族は偶然に犯罪を目撃した。犯人の武装集団が家族全員を脅迫し、後を追って来た。パンデミック中ではあったが、家族は自分たちの命を守るためには逃げる以外に選択肢がないことに気づいた。ラテンアメリカで最も犯罪率の高い国の一つであるエルサルバドルで育った彼らのような家族は、長年、多くの地域を恐怖に陥れている犯罪集団がいかに非情であるかを目の当たりにしてきた。その結果、多くの家族が、「恐れと死」という同じ理由により、逃げ出している。

上述の例のように、中米では、残忍なストリートギャングの標的となってしまう人が少なくない。たとえCOVID-19の大流行中であっても、逃げるしか選択肢がないのである。

難民の多くはどこからやって来るか?

  1. ソマリア – 949,487人。ソマリア内戦は、20年前から続いている。
  1. ミャンマー – 110万人。ロヒンギャは、70年代以降ミャンマーから次々に避難している。
  1. 南スーダン – 230万人。南スーダンには、世界で最も若年層の難民集団がある。62%が子どもである。
  1. アフガニスタン – 270万人。アフガニスタン人は、40年前から自国を離れている。人々が故郷から逃げ出す主な理由は、終わりのない暴力である。
  1. シリア – 670万人。シリア紛争は、世界の他のどの国よりも多くの難民を生み出した。人口の約50%が故郷から逃げ出すことを余儀なくされている。

現在、世界における難民の子どもの数は?

ユニセフが最近発表した報告によると、世界中で3100万人近い子どもたちが強制的に避難させられている。この人数には、約1300万人の子どもの難民、約100万人の子どもの庇護希望者、そして推定1700万人の子どもの国内避難民が含まれる。これらの子どもたちは、暴力、虐待、人身売買にさらされるリスクを抱えている。

同報告では、難民の子供たちは過密状態のキャンプや仮設住宅で生活していることが多く、物理的な距離を置くことができないことが指摘されている。また、基本的な衛生・医療サービスへのアクセスも限られている。これらの子どもたちは、世界中で蔓延し続けるコロナウイルスの「隠れた犠牲者」なのである。

今回の危機に際して、キリスト教はどのような役割を果たすべきか?教皇フランシスコはこの質問に答えて、キリスト教は教義や行動様式、文化だけではないと述べている。そうではなく、キリスト教の核心は出会い、イエスとの出会いでもあるのである。クリスチャンは、イエスの目を通して苦しんでいる人を見る。そして、その人を助けるだろう。

イエスの目を通して一人一人の難民を見ることで、特に苦しんでいる人々や最も見捨てられている人々のために、より積極的に関わっていく勇気が与えられる。洗礼、堅信、聖体の秘跡を通して、イエスは私たちに苦しんでいる人々に奉仕する勇気を与えてくれる。

2020年4月23日、教皇フランシスコは次のように述べた。「パンデミックは私たちに、苦しむ人々の間には、違いも国境もないことを思い出させてくれます。私たちは皆、弱く、平等で、尊い存在です。今こそ不平等を解消し、人類全体の健康を蝕む不公正さを修復する時です!」

カトリック教徒は、この呼びかけに応じるだろうか?あるいは、私たちの見たくないものが光のもとに明らかになるため、暗闇の中で生きるほうが楽であると感じるだろうか?「私を信じる者が、誰も暗闇の中にとどまることのないように、私は光として世に来た。」ヨハネによる福音書12章46節。このような困難な時代に、神が私たちに、人々を結びつける新しい人間関係を創造し、どんな隔壁をも上回る新しい種類の一体感を創造する勇気を与えてくださいますように。

ユニセフ事務局長のHenrietta Foreは、世界中の何百万人もの難民の子供たちを保護するためのアクションを呼び掛けた。同氏は、政府と人道支援パートナーが協力して、子供たちの安全と健康を守り、教育し、保護することが不可欠であると述べた。

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